函館市電の｢定番｣の撮影ポイントと言えば､十字街電停でした。
この界隈､戦前には函館随一の繁華街として栄えたそうですが､戦後は市街地の東部地区への拡大に伴い､大門(函館駅前)・本町(五稜郭公園前)等にその地位を奪われてしまいました。かつて三方分岐であった市電の軌道も､道路改良時に二方分岐のみとなり､乗り場も統合。周辺の歩道に巡らされていたアーケードも､多くが撤去されています。
それでも､交差点周辺にはかつての賑いを偲ばせる昔ながらの建物が並び､歴史的景観地区への入口にふさわしい雰囲気を作っていました。
交差点角にあった｢お菓子の三ツ源｣さんは、珍しい量り売り中心のお菓子屋さんとして､知る人ぞ知る存在でした。
この写真撮影の半年後に訪れてみると…背景の建物は全て解体され､一帯の再開発工事がスタートしていました。
4階建ての複合ビルが建てられ､店舗の他、後方の市役所分庁舎(1969年まで丸井今井函館支店として使用)から市水道局が移転して来るとのことです。
…｢三ツ源｣さんは8月に閉店。このビルにも戻らないそうで…。
4階建てのビル…となると､竣工の暁にはこの場所から函館山を望むことも出来なくなるのでしょうね。
…せめて、周辺の歴史的景観に配慮した建物になればいいのですが､どうなるのでしょう…。
その後の変化の様子を、このシリーズのVol.22にまとめました。こちらも併せて、ご覧ください。