「8月15日」からはやや遅れましたが、こちらでも「戦争」に関連があると思われる話題を紹介しましょう。
東京最大のターミナルとして、ダントツの乗降客数を誇る新宿駅。相次ぐ駅構内の改良工事により、昔ながらの構築物はかなり少なくなりましたが、そんな中で第5ホーム(9・10番線)には、戦前以来の古レールで組み上げられた上屋が一部残されています。
ところがこの中に、上屋の中心を支える梁が大きく湾曲したままになっている場所があります。よく見るとこの2本の梁を支えている中間の支柱も、僅かながら斜めに傾いているのが判ります。
2002年12月の上京時に友人とこのホームを歩いていた際、ふと見上げた場所がこのようになっていて、我々も初めて気が付きました。
新宿駅は1945年4月13日を初めとして、以後敗戦までの間に何度も空襲の被害に遭っています。1945年5月25日の空襲では、駅構内がほぼ全焼したとのことです。恐らくはこのホーム上屋(当時は3・4番線)も火災で焼失し、その際に梁が高熱で曲げられた所をそのままに復旧して、現在に至っているのではないかと想像しています。
この上屋も、新南口新設に伴うホーム改良工事が本格化すると、遠からず改築対象となることでしょう。目立たない「戦争の証人」だけに、このままひっそりと消えて行くのでしょうか…。